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名知らずの美

>私の将来の夢は、衣玖さんと結婚することです!

・・・これ、名前欄が「メイド妖精」なのですよねー。
ということは、これは紛れも無く 名も無きメイド妖精さんから衣玖さんへの告白なんですよねー・・・。

わかりました!
あなたが”そう”であるならば! このヨハネ、全力で応援いたしましょう!
ああ、見た目は勝手に想像させていただきましたよ!



いやいや、たかが一枚の絵では足りない、タリナイ! 
美が! 愛が! 物語が! 溢れ出て止まりませんよ!
さあれ、下の続きを読むから、続きをどうぞ、ドウゾ! 



ここに、美鈴咲夜婦妻を見て「結婚っていいなぁ」と常々思ってたメイド妖精さんがいます。
ここに「結婚する方法」関係の書物を読みあさるべく、図書館に通い詰めている衣玖さんがいます。

連日通ってきている衣玖さんです。お見かけする機会も多いでしょう。お茶を運んで上げたこともあるでしょう。
そのとき、衣玖さんが読んでいた本がチラと目に入ったのでしょう。
熱心に読んでいたのは「結婚する方法」。

この人も、結婚したいんだ。

名も無きメイド妖精は、この瞬間から衣玖さんを意識し始めたことでしょう。
名も無きメイド妖精が、衣玖さんに興味を持ち始め「恋するメイド妖精」に。
結婚に憧れを持つ恋するメイド妖精が「衣玖さんと結婚したいメイド妖精」へと深化していくのに、時間はかかりませんでした。

決意をするのには、少しだけ時間がかかりました。

ある日、いつものように図書館に来た衣玖さんに声をかけ、メイド妖精さんは連れ立って外に行きます。

そこで、衣玖さんにお願いしました。
「これを着てください」

差し出されたのはウェディングドレスではなく、ぼろぼろの白いワンピース。
お金を持っていない妖精にとっては、これを手に入れてくるのが限界でした。

「これを持ってください」
差し出されたのは野花を押し包めた、野花のブーケ。
文字を読めない妖精にとっては、これが精一杯の誠意でした。

「これをつけてください」
そういって、衣玖さんの薬指に結婚指輪をはめました。
それは、野花を編んだだけの、花と雑草の輪っかに過ぎませんでした。
しかしそれは、名も無き妖精らしい、名も無き花で編んだ故の 確かな愛の証でした。



そして、最後に、ありったけの想いを込めて。

「私と結婚してください」


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